工事のきっかけ
八王子市寺町のお客様から、「出窓まわりから室内へ水が入り込むようになり、雨のたびに不安で困っている」とのご相談をいただいたことが、工事のきっかけです。
すでに出窓上部には補修された跡がありましたが、それでも浸水が止まらず、どこが本当の原因なのか分からない状況でした。
そこで、赤外線カメラを用いた点検で水の流れを追い、原因を絞り込んだうえで、建物の状態に合った補修工事をご提案しました。
出窓上部に雨だれ跡があり外壁面にも水の影響が出ていました
外壁の出窓上部には、縦に流れた汚れと変色が見られ、雨水が繰り返し伝っていた様子がうかがえました。
表面の汚れだけでなく、外壁材の継ぎ目まわりにも水の通り道ができている可能性があり、単純な表層の汚れとは言えない状態です。
こうした跡は、建物のどこかから入り込んだ水が外へにじんだ結果であることも多く、浸水が長引いているサインとして見逃せません。
出窓まわりの不具合を疑いたくなる場面ですが、周辺全体を見ながら原因を探る必要がありました。
出窓枠の内側にも水の影響が及び木部に傷みが出ていました
出窓の開口部付近を詳しく見ると、枠の内側の木部に変色と傷みが出ており、室内側へ水が回っていたことが分かりました。
ここまで症状が進むと、表面をふさぐだけでは改善せず、外側から入り込む経路をきちんと止めなければ再発しやすくなります。
特に木部は水分を含むと劣化しやすく、放置すると腐食やカビの原因にもつながります。
出窓まわりの症状は結果として現れていると考え、入口側を探すために外壁面と下部の取り合いまで範囲を広げて調べていきました。
赤外線カメラで温度差を追い含水の広がりを調べました
赤外線カメラを使って外壁面の温度分布を見ていくと、目視だけでは分かりにくいムラが現れました。
水分を含んだ部分は周囲と温度差が出やすいため、雨漏り調査では非常に有効です。
出窓上部には過去の補修跡がありましたが、温度分布や周辺の状況から見ると、主な侵入口はそこではないと判断できました。
見た目で怪しく見える場所と、実際の漏水経路が一致しないことは珍しくありません。
こうした点を丁寧に切り分けることで、無駄な工事を避けながら的確な補修内容につなげています。
2階踊り場とサイディングの取り合いが劣化していました
2階の踊り場とサイディング外壁の取り合い部分を見ていくと、劣化が見られました。
ここは床面に降った雨水が集まりやすく、外壁との境目に負担がかかりやすい箇所です。
防水層やシーリングの性能が落ちてくると、わずかなすき間からでも水が入り込み、外壁の内側を伝って離れた位置の出窓まわりへ影響を及ぼすことがあります。
見た目には地味な部分ですが、雨仕舞いの要となる取り合い部であり、重点的に対処すべき場所として判断しました。
取り合い部をさらに近くで追うと、外壁下端と床面の境目に劣化によるひび割れが見られました。
ひびが開いたことで雨水が入り込みやすくなり、ここから内部へ水が回っていたと考えられます。
細い割れでも、雨が吹き込む向きや量によっては十分に漏水原因になりますし、繰り返しぬれることでひびがさらに広がる悪循環も起こります。
出窓上部の補修跡ではなく、2F踊り場とサイディングの間のひび割れが侵入口と絞り込めたため、この部分を中心に防水工事を進める方針としました。
防水工事(2F踊り場の床と外壁の取り合い部まわり)
施工では、まず傷んだ面の清掃と下地調整を行い、密着を妨げる汚れや脆弱な部分を整えました。
そのうえで金属面を含む箇所に錆止め塗料を塗布しています。
踊り場まわりは雨にさらされやすいため、表面だけを防水しても、下地側の劣化が進んでしまうと耐久性が落ちてしまいます。
そこで弊社では、見えなくなる工程ほど手を抜かず、後の防水材がしっかり働ける状態をつくることを大切にしています。
細かな取り合いにも塗り残しが出ないよう、ローラーの当て方にも注意しながら進めました。
プライマーを入れて防水材が密着しやすい状態にしました
次に、下地と防水材の接着性を高めるため、プライマーを塗布しました。
プライマーは目立たない工程ですが、防水工事の仕上がりと持ちに大きく関わります。
吸い込みムラが出やすい部分や、外壁との境目のような複雑な形状の部分では、均一に塗ることが特に重要です。
密着が甘いと、せっかく防水材を重ねても早期の膨れやはがれにつながることがあります。
そうした不具合を防ぐため、塗布量と乾燥状態を見ながら、次工程へつなぐ土台づくりを行いました。
ひび割れと取り合い部にコーキングを充填してすき間を塞ぎました
浸水の入口となっていたひび割れ部には、コーキング材をしっかり充填しました。
ひびの表面だけをなぞるのではなく、割れの動きや形状を見ながら、外壁と床面の取り合いに沿ってすき間を埋めていくことが大切です。
とくに端部や立ち上がりの角は、水が入りやすい反面、施工不良も起こりやすい箇所ですので、材料が不足しないよう押さえ込みました。
ここで水の通り道を遮断しておくことで、このあとのウレタン防水がより効果的に働き、再び水が入り込みにくい納まりへ整えることができます。
下地処理とシーリングの後は、ウレタン防水材の塗布に入ります。
床面から立ち上がり部まで連続した防水層を形成するように塗り広げ、二層にすることで防水層の安定性が高まり、下地の微細な動きにも追従しやすくなります。
ウレタン防水は継ぎ目のない膜をつくれるため、こうした取り合い部の補修に相性が良い工法です。
ただし、薄すぎると性能不足になり、厚みにムラがあると乾燥や耐久性にも影響します。
ローラーの運び方や材料の含み方を調整しながら、均一な膜厚を意識して施工し、ひび割れのあった部分を中心にしっかり防水層をつくりました。
ウレタン防水材を施工し、十分な膜厚を確保したうえでトップコートを仕上げました。
トップコートには、防水層を紫外線や摩耗から守る役割があります。
見た目を整えるだけではなく、長く安心してお使いいただくために欠かせない仕上げです。
こうして、ひび割れがあった範囲を中心に取り合い全体を保護し、建物へ雨水が入り込みにくい状況へ整えました。
出窓からの浸水は、つい出窓そのものや上部の補修跡を疑いがちですが、実際には2F踊り場とサイディングの間に生じたひび割れが原因でした。
雨漏りは、症状が出ている場所と入口が離れていることも多いため、やみくもに塞いでも止まらないケースが少なくありません。
だからこそ弊社では、赤外線カメラを活用しながら水の流れを見極め、必要な範囲を的確に絞ったご提案を大切にしています。
原因を外さない調査力が、無駄のない修理につながります。
雨漏り専門赤外線調査.comでは、地域に根ざした対応で調査も行っておりますので、出窓まわりの浸水や外壁のひび割れが気になるときは、どうぞお気軽にご相談ください。