折半屋根の雨漏り原因・修理方法｜特徴や施工方法の違い・浸水被害を未然に防ぐメンテナンスとは？

折板屋根は主に工場や倉庫の屋根に採用され、板金素材を凹凸状に折り曲げて製造される屋根材が使用された金属屋根の一種です！

加工により耐久性も大きく向上しており、雨漏りを起こしにくい屋根としても評価されています。

しかし、いくら雨漏り被害を起こしにくい屋根だからと言って、折半屋根にメンテナンスが必要無いという訳ではありません！

適切な時期に状態の点検・確認を行い、必要なメンテナンスを施していかなければいかに折半屋根と言えど劣化によるトラブル・雨漏り被害を引き起こします。

この記事では折半屋根の特徴や雨漏りリスクとその原因、雨漏りを防ぐメンテナンス方法について詳しい情報を解説いたします！
また、万一雨漏りが発生してしまった際の修理方法についてもご紹介いたしますので、ぜひご覧ください！

折板屋根とは？その特徴と雨漏りのリスク

それでは、まずはじめに折半屋根の特徴や雨漏りのリスクについて詳しくご紹介いたします。

折板屋根の基本構造と特徴

折板（せっぱん）屋根とは、金属素材を波型・山型に成形してつくられる屋根材を使用した金属屋根のことを指します。
工場や倉庫、大型施設の屋根に採用されることが多く、自転車置き場など簡易的な設備の屋根にも採用されています。

折板屋根の主な特徴は、以下のとおりです！

①耐久性・強度に優れる

折板屋根に使用される屋根材は金属素材を波状や山状に加工することで造られますが、その過程で屋根材の強度も大きく向上します。
台風・積雪・降雹などの自然災害にも強い屋根材です！

②施工性が高くコストを抑えられる

一枚の大きな金属板を並べて固定していくため、施工がスムーズに進みます。
そのため、比較的短期間で施工できる事からその分コストを抑えることができます。

工場や倉庫など大きな面積を持つ屋根の施工では、特に大きなメリットとなります。

③雨水の排水性が高い

折板屋根の凹凸形状は地面と垂直方向に形成されるため、屋根に降った雨水の排水が非常にスムーズになります。
排水性の高いことで屋根の上に水が滞留しにくいため、折半屋根の雨漏りリスクも抑えられます！

④緩勾配屋根にも柔軟に対応出来る

屋根の勾配はその建物によって異なり、特に緩勾配の屋根は排水性の低さから使用できる屋根材も限られてきます。
そうした中、優れた排水性を備える折半屋根は、緩勾配の屋根にも柔軟に対応する事が可能です。

折板屋根の施工方法

折板屋根は複数の施工方法があり、その種類によって特徴も変わってきます。
次に、代表的な折半屋根の施工方法を３つご紹介いたします！

折板屋根の改修や新設を行う際には、それぞれの特徴を理解した上での施工法選びも非常に大切です！

①重ねタイプ

重ねタイプは屋根を支える骨組み（梁）に「タイトフレーム」と呼ばれる金具を取り付け、そこに屋根材を固定する方法です。
強度に優れている事から台風が多く襲来する地域にも適していますが、固定に使用されるボルト・ナットが錆びついてしまうリスクには注意が必要です。

②はぜ締めタイプ

金属屋根の端を「電動シーマー」と呼ばれる専用の機械で折り曲げ、接合する方法です。
ボルトを使わずに屋根材同士をしっかりかみ合わせるため、雨水が入りにくく防水性に優れています。

また、部品が少なくて済むため施工コストが抑えられる点もメリットがありますが、重ねタイプと比較して強風に弱いという欠点があります。

③嵌合（かんごう）タイプ

嵌合（かんごう）タイプの折板屋根は、屋根材を「吊子（つりこ）」と呼ばれる金具で固定していく施工方法です。
継ぎ目にキャップをはめ込むことでボルトを外に出さないため、美観性と防水性を同時に高められます。

一方、施工手順が多く他の工法と比較して施工コストが大きくなりがちな点には注意が必要です！

折板屋根は雨漏りに強い？

冒頭でもお伝えいたしましたが、折半屋根は雨漏りが発生しにくい屋根と言われています。

まず、その理由の一つとなるのが、排水性の高さです！
1枚1枚の大きな屋根材を使用することから繋ぎ目がほとんど発生せず、さらに地面と垂直な凹凸形状が排水をスムーズにします。

また、折半屋根によく使用されるガルバリウム鋼板は元々耐久性に優れた素材ですが、加工によってさらに強度が高められる事も一つの要因です。

さらに、折半屋根の施工方法である「はぜ締め式」や「嵌合（かんごう）式」は、ボルトやナットが錆びてしまうリスクが抑えられています。
折板屋根は優れた耐久性・排水性を備え、さらに施工方法の進化によって「雨漏りに強い屋根」として評価されるようになりました。

折板屋根から発生するよくある雨漏り原因

それでは、雨漏りに強いはずの折半屋根はどの様な原因で浸水被害を招いてしまうのでしょうか。
次に、折半屋根のよくある雨漏りの原因についてそれぞれご紹介いたします。

ボルト部分の劣化

折板屋根の雨漏りリスクとしてまず注意したいのが、ボルト部分の劣化です。
ボルト・ナットの錆付きやそこに設置されているパッキンの劣化は、浸水経路となる隙間をつくりだします。

特に、ボルトやナットが露出される「重ねタイプ」の折半屋根は劣化が進行しやすいため注意が必要です。

屋根材の錆び・穴あき

やはり、金属屋根材の弱点と言えるのが「錆付き・腐食」です！
折板屋根の主流素材ともいえるガルバリウム鋼板は錆に強い素材ですが、絶対に錆びない訳ではありません。

特に、沿岸部での使用は「塩害」の悪影響を強く受けるため、より一層として定期的なメンテナンスが必要となります。
錆を防ぐメンテナンス方法としては、塗装メンテナンスが効果的です！

内樋（箱樋）の詰まりや腐食

内樋（箱樋）は雨樋の造りの一種であり、アパートや店舗の折半屋根で採用されることが多いです。
一般的な住宅で施工される「外樋」と違い屋根に隠れるように設置されるため、意匠性の高いすっきりとした仕上がりとなります。

しかし、その一方で内樋はゴミなどを滞留させやすいデメリットを抱えています。

樋（とい）が詰まると排水がスムーズに行われないため、それが原因として雨漏りを引き起こしてしまうケースも少なくありません。

面戸の不具合

エプロン面戸とは、屋根の立ち上がり部分（壁と屋根の接合部）に取り付けられる部材です。
雨水の侵入を防ぐ役割を果たしていますが、

・施工不良によって面戸が正しく取り付けられていない
・面戸付近のシーリングが劣化している

といった理由から、雨漏りを引き起こしてしまうケースがあります。

付帯設備周辺の異常

付帯設備とは換気口・配管・アンテナ・ベンチレーターなど屋根に設置される設備です。

例えば、

・付帯設備周辺に施されたシーリングの劣化
・強風が伴う雨の換気口への吹込み
・配管同士の繋ぎ目のパッキンの劣化

など、付帯設備周辺の異常が雨漏りの原因となるケースも意外と多いです。

折板屋根だからという訳ではありませんが、「折半屋根が使用されている工場や倉庫」のよくある雨漏り原因として念頭に置いておきましょう。

折板屋根の雨漏りを防ぐためのメンテナンス

前述の通り、雨漏りに強い折半屋根も様々な要因で浸水被害を生じさせてしまいます！
折半屋根の雨漏りを未然に防ぐ対策として、定期的なメンテナンスは必要不可欠です。

定期的な点検で劣化や異常を早期に対応！

屋根に問題やトラブルが生じた場合、それ解決をするために「修理」が必要となります。
一方、「メンテナンス」は問題やトラブルを防ぐために行われるものです！

適切な時期に効果的なメンテナンスを実施していくためには、やはり「定期的な点検」を行うことが最も効果的です！
たとえ小さな劣化症状でも、早期に対応していくことで将来的な雨漏りリスクをグッと低減できます。

折板屋根の点検ポイント！

折板屋根の点検を行う場合、特に以下の様なポイントに注意しましょう。

・ボルトの緩みやパッキンの劣化
・屋根材の浮き・変形
・錆付や腐食の発生状況
・内樋や排水ドレンの詰まり
・シーリングのひび割れや剥がれ

また、屋根は台風・積雪・降雹などの影響を受けやすい場所です。
定期的な点検とあわせ、それらが過ぎ去った後にも点検をしておくと安心できます。

屋根塗装（錆止め塗装）

折板屋根の雨漏り原因となることの多い「錆」を抑制する上で非常に効果的となるのが、「屋根塗装」です。
塗装は景観を整える事が出来るメリットがありますが、それ以上に屋根材の保護機能を回復する効果に期待できます。

下塗りに錆止め塗料を使用することで錆の発生が抑制され、防水性も大きく向上します！
屋根の塗装頻度は約10年程度が目安となりますが、立地・環境条件によってはそれよりも早く必要となる場合もありますので注意しましょう。

ボルト周辺のメンテナンス

ボルトの錆付き、パッキンの劣化は雨漏りの直接的な原因です！
錆びついたボルトやボロボロとなっているパッキン・シーリングは、交換や打ち替えなどのメンテナンスが必要となります。

また、折半屋根のボルトにはそれを保護するボルトキャップが被せられていますが、経年により外れてしまっている事も多いです。
そうした場合も、必ず新しい物を取り付けるようにしましょう。

内樋の清掃

内樋が詰まりによって排水不良を招いている場合、清掃が必要となります。
落ち葉や泥の滞留を防ぐためにも、年に2回程度を目安に行っておくと安心できます。

折板屋根の雨漏り修理方法

折板屋根で雨漏りが発生した場合、出来るだけ早期に修理する事が望ましいです！
続いて、折半屋根のよくある修理方法についてご紹介いたします。

防水テープ・コーキングによる応急処置

まず、雨漏りの修理方法として挙げられるのが、防水テープ・コーキングによる応急処置です。
比較的簡単に行う事が可能で、「まずはとにかく浸水を止めたい！」という際に効果的な方法と言えます。

ただし、被害状況によっては浸水を完全に止める事は難しく、尚且つそうした修理方法は根本的な解決とはなりません。
あくまで、「しっかりとした修理を行うまでの応急処置」と言う事を念頭に置いてきましょう。

屋根材・部材の部分交換

折板屋根の状態によっては、部分的な交換で対応できるケースもあります。

・穴が開いている屋根材
・錆びついているボルトや金具
・腐食が進行している内樋

など、雨漏りの原因個所を新品に交換する事で、浸水を止める事が可能です！

しかし、一方で部分的に著しく劣化が進行している場合、屋根全体が劣化している事も非常に多いです。
そのようなケースでは将来的に別の場所でトラブルを引き起こすリスクも大きく、屋根全体のリフォームを行ってしまう方が安心です！

屋根全体のリフォーム：カバー工法

カバー工法は屋根リフォーム方法の一つであり、既存の屋根材の上から新たな屋根材を重ねる方法です。
特に、「屋根材が所々劣化しているけれど、その固定部に問題がない」といったケースで多く採用されます。

カバー工法のメリットとしては、

・屋根材の撤去がほとんど必要ないため、施工期間・費用を抑えられる
・屋根が2重構造となり断熱性・防音性が向上する
・工事中に屋内へ及ぼす影響が少ない

などが挙げられます。

費用や工事期間の削減効果は屋根面積の広い工場や倉庫では特に大きく、さらに屋内での業務を止める必要もありません！
そのため、工場や倉庫の折半屋根にも非常に最適な屋根リフォーム方法と言えます。

屋根全体のリフォーム：葺き替え工事

一方、葺き替え工事は屋根材を撤去し、新しい折板屋根へと葺き替える屋根リフォーム方法です。
既存の屋根材が大きく変形している・固定部の劣化が著しいケースなど、カバー工法では台風などの自然災害にに耐えられないと判断された場合に採用されます。

カバー工法と比較して施工期間・工事費用は大きくなりますが、施工する屋根の状態を選ばない事がメリットです！
構造部から屋根を強く作り替える事が出来ます。

折板屋根の雨漏り被害解決には「原因調査」も重要！

「雨漏り専門赤外線・非破壊検査.com」へご相談いただくケースの中には、

・雨漏りを修理したけどすぐに再発してしまった...
・DIYによる屋根修理を行ったが浸水が止まらなかった...
・別の業者で修理してもらったが逆に雨漏りが悪化した...

などのお困りごとも多く、そうした事例に共通するのが「原因がしっかりと特定できていない」ことです。

一口に「折半屋根から発生する雨漏り」といっても、その要因は非常に様々です。
そうした根本的な原因特定せずに間違った施工を行ってしまえば、雨漏りを止められないどころか悪化させてしまう事態に繋がりかねません！

「雨漏り専門赤外線・非破壊検査.com」では、目視調査をはじめ赤外線カメラ・散水試験を活用した調査によってまずは雨漏りの根本的な原因を特定いたします！
お客様のご不安・ご要望をしっかりとお聞きした上で最適な施工方法をご提案させていただきますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

まとめ

折板屋根は鋼板素材を凹凸状に加工された屋根材が使用された金属屋根の一種であり、「耐久性に優れた雨漏りしにくい屋根」と評価されています。
しかし、錆び付きや劣化を放置する事で浸水被害を招いてしまう可能性もあるため、そうした事態を未然に防ぐためにも定期的な点検・メンテナンスは非常に大切です。

また、折半屋根の施工方法は「重ねタイプ」「はぜ締めタイプ」「嵌合（かんごう）タイプ」などの種類があり、それによって浸水リスクや施工コストも変わってきますので注意しましょう。

「雨漏り専門赤外線・非破壊検査.com」では、折半屋根が使用されている工場や倉庫で発生した雨漏り調査・修理の施工実績も豊富です！
一般的な戸建て住宅はもちろん、大型建造物で発生した雨漏り被害もお気軽にご相談ください。